私が子供の頃には、野山に「リンドウ」の花が自生しており、秋には、釣り鐘型の美しい紫色の花を咲かせていました。私はこの花が大好きで、今も自然散策の時は探すのですが、最近は、リンドウの姿は殆どありません。
一方で、お盆を前に生花店には、園芸種のきれいな青紫色の「リンドウ」の花がたくさん並んでいます。
私の友人に、このリンドウ「西京の初夏」「西京の涼風」を作っている方が数名おられます。皆さんは、数年前から、栽培を始められたのですが、その中のお一人が先日、夏の花卉品評会において、切り花の部門で「県知事賞」を受賞されました。
これまでも、栽培の大変さを聞いていましたので、お祝いの電話をかけ、この間のご苦労や課題などについてお話を聞きました。
野生のリンドウは秋の花ですが、山口県のオリジナルリンドウ「西京の初夏」は極早生系なので6月から出荷できるそうです。
これは、山口県農林総合技術センターと栽培農家が10年がかりで研究を重ね、品種交配を続けた結果、開発することができたオリジナル品種で、全国で最も早く出荷できる上に、暑さに弱い従来品種と違って、暖地の露地で栽培できるのが特徴だそうです。
平成24年品種登録出願公表、平成24年度から本格的な出荷開始、平成25年度にはやまぐちブランド登録商品に登録されました。現在、県内にはリンドウの生産農家は数十軒あり、周南、下関、山口、宇部地域を中心に約250aの面積で栽培されています。
リンドウの主産地は岩手県で、全国の3分の2が生産されていますが、7月から出荷されますので、5月下旬から7月上旬の全国の生花店の店頭にあるリンドウは、全て山口県産なのだそうです。
さらに昨年から「西京の初夏」に続く新品種「西京の涼風」が栽培されています。友人が受賞されたのは、この「西京の涼風」です。
「西京の涼風」は、6月下旬から開花する山口県農林総合技術センターが開発したオリジナル品種で、昨年、品種登録出願をし、現在、山口市阿東町をはじめ、県内各産地において試験栽培を実施しています。
来年は、県内において、リンドウの生産量が増えるそうで、首都圏へ向けての販売も積極的になされています。まずは、山口県内において、この「西京シリーズ」が、県民の方に知っていただくことが重要だと思います。
そして、「山口県のオリジナルリンドウが、全国の生花店に並び、多くの人が買い求め、笑顔で花束を抱えて帰られ、各家で飾られる」・・・そんな絵を描きながら、リンドウの生産量が増え、生産者の所得が増えることを願っています。
生産者の皆さんには、暑い中、収穫作業も大変でしょうが、お体に気をつけて、ますます頑張っていただきたいと思います。