
災害直後の現場の様子。写真中央が家のあった場所。
今年の7月の西日本豪雨災害で、周南市熊毛樋口の小成川地区では、土砂災害によって、残念なことに64歳の女性がお亡くなりになられました。一緒に在宅されていたご主人や2人の息子さんは、近所の建設会社の方のお働きのおかげで、無事、救出をされたそうです。
災害が発生した2日後、私は地元の方と一緒に視察に行きましたが、凄惨な現場に足がすくみ、声も出ませんでした。
裏山から流れ出た多量の水は、周りの大きな石を剥ぎ取り、転がしながら、下へ下へと一気に駆け下りたのでしょう。現場の周辺には、想像を絶する大きな石が散在しており、危ないので近くには行くことができませんでした。
小成川地区には30数名の方が生活しておられました。今回の土砂災害で自宅が大きな損壊を受け、雨が降ると、また被害に遭うのではないかという不安があるため、現在は、10名あまりの方が地区外で暮らしておられます。

11月の現場の様子。巨大な石が多量にありました。
この度、国の補助事業で、この裏山に「砂防堰堤(えんてい)」を造ることが決まり、工事概要も決定しましたので、去る11月8日、小成川集会所で、山口県周南土木建築事務所による地元説明会が開催されました。
私は、既に計画の説明を受けてはいましたが、地元説明会に参加させていただき、皆さんと一緒に聞かせていただきました。
会場には、地区の方々が揃われ、不安そうに、
「この砂防堰堤ができたら、今回のような土砂災害が起きても、自分の家は守られるだろうか」
「堰堤の管理道は、今後、誰がどうやって守るのだろうか」
等の質問をしながら、工事の概要について説明を聞かれていました。
県の方も、誠心誠意、この事業に取り組んでおられ、今後は、このような被害が起こらないように、また、最速で進めていきたいという固い決意がよくわかりました。
砂防堰堤は、中央にスリットが入った「透過型」が整備されるそうです。このタイプだと、材木や石が流れ込んだ時に、中央の鋼製の枠でそれらを捉えることができ、その隙間から水だけ、下流に流せるようになっているそうです。

地元説明会の様子。
また、会場には、お母様を亡くされた長男さんの姿がありました。彼は、
「砂防ダムの下流の河川について、どの程度の流量を想定されているのか。護岸工事がなるのはどうなるのか」という質問をされました。
河川の部分については周南市の対応になるという答弁でした。今後、県と市で対応されると思いますが、住民の皆さんが安心して、この場所に家を再建することができるよう、最善の策を練って欲しいと思います。
いろいろな意見が出ましたが、まずは、地域の方たちが、助け合っておられる様子、また、長男さんがお元気になられた様子を見て、少し安心したところです。一日も早い復旧を願っています。
※重い課題、哀しい内容ゆえ、ついつい筆の運びが遅くなり、ご報告が遅くなってしまいました。お詫び申し上げます。